映画「黄金のアデーレ」
「黄金のアデーレ」。
友人の勧めで見てみました。クリムトの絵は、美しく心の奥をくすぐりますが、そのきらびやかさと退廃の香りに惹かれたり時には過剰で遠ざけたくなったり、穏やかならぬ魅力があります。
さて、この映画では、叔母を描いた肖像画がナチスに奪われたアメリカ在住の女性が、オーストリアに対し、絵の返還を求める訴えを起こします。
この作品は、その女性とそれを手助けした弁護士の苦労と葛藤と、一筋縄では当然進まなかった司法手続きの経過を描いたものです。
映画の中では 女性がオーストリアで暮らした幸福な日々と、ナチスの台頭、そしてその不穏な時代下の名での絵の運命、女性の家族の運命が、女性の追想として描かれていきます。
その追想は胸を締め付けるようなもので、ドラマチックな司法手続きの展開とともに、悲惨な歴史を考えさせ、心を揺り動かします。青年弁護士も、はじめは、こんなもうからない勝ち目のない仕事はしたくないと思っていたのに、ところが‥。
公開は2015年だったようですが、今になって視聴。とても良い映画でした。
弁護士稲益みつこ